話した言葉のあとでは、その場所の空気が変わってしまい、
数分前に比べて、あきらかに重さを増した。
覚悟や生き様、その類。
きっと呼吸とともに出たそれらは、目には見えない形で
小さな店のなかに佇んでいたのだろう。
PENTAX MX / RIKENON 50mm f2.0 / fuji XTRA400
先日、家鴨軒で夕食を食べていたら、店長からジャンクカメラいらないか?と声をかけられた。
その中の一台はRICOHのXR500。ボロボロに壊れている、レンズにカビは生えているが、バルサム切れもないし、前後玉に大きな傷もない。Kマウントだし、レンズだけでも救出できるのではないか?と思い、ありがたく頂戴した。
あまりXR500について知識はなかったのだが調べると面白い。
当時の定価で39800円という安値で売られ、セットレンズも9000円だったらしいのだが、このレンズが恐ろしくよく写るというのだ。
巷では、「貧者ズミクロン」などと形容されライカの名レンズであるズミクロンに引けを取らない描写をするという噂なのだ。
また、伝説(と言われてるらしい)の光学レンズメーカー「富岡光学」製も一部含まれているらしい。
ざっくりいうと金属でできた焦点距離45cmのものが前期型と呼ばれ富岡光学製。
コストカットのため、プラスチックになり、焦点距離が60cmになったものが後期型ですが、50mmの後に「L」の文字が刻印されているものまでが富岡光学製のものらしい。
それ以降の「P」「S」などの刻印は日東光学製のものなのだとか。
こういう歴史を調べながら、オールドレンズを使うのが楽しみでもある。
譲り受けたものは「L」の刻印がされてあり、どうやら富岡光学製のようだ。
カメラサービス佐賀さんに依頼して、早速修理をしてもらった。
随分と綺麗になって帰ってきたのだが、使ってみるとこれがまた素晴らしい・・・!
最短距離が60cmなのがやはり不満ではあるものの、とにかく写りがカリッカリでシャープ。とても9000円のレンズの写りではないように思う。
かなりの球数が出ているので、もしいいものがあれば45cmのレンズも入手したいなぁと思った。
また、先週、アルバスのオールドレンズ体験会に参加し、ペンタコンのレンズも買ってしまったので、早く撮りたい次第。
pentax mx / rikenon 50mm f2.0 / fuji XTRA400
帰りたい場所、というものがいくつもあり、
それはいつかいた場所でもある。
ただ、それが誰かの家やお店というわけでもなく、
たまたま歩いた場所や乗った電車やバスの車内だったりする。
細部は思い出せないけれども、その景色は確かに存在していて
一部を写真に残すことができていて良かったな、と思う。
うまくいかない日々や行き場をなくした情熱、
まだ、路地裏のカザミドリはそこにあるだろうか。
natura classica/fuji REALA
10年くらい前から欲しいと思っていたCDがあり、なかなか機会がなく買えずにいたCDを先日、フリーマーケットのアプリで購入した。
なんとも便利な世の中になったものだとつくづく思う。
その買ったアルバムの曲中に魂という単語が出てくる。
教えて、あの頃よ 僕は今もきらめいていますか
教えて、あの頃よ 失われていく僕の魂
最近、「魂ってなんだろうな?」と漠然と考えており、偶然なのか必然なのか、その曲が自分のあの頃から再び戻って来た。
考えるきっかけになったのは最近ニュースでも取り上げられていた芸能人が癌との闘病の末に亡くなられた出来事等である。
とても悲しい出来事だが、多くの人たちの共感を得ている理由は悲しいからではなく、病気だったとしてもそれと向き合い、そして懸命に生きようとした生き様だろう。後ろを振り返らず(何度も振り返ったのかもしれないが)生きようとしたその強かさ。
自分に置き換えるととても耐えられそうにない。
ところで、職業柄か自分は「魂も歳をとる」と考えている。
元気でたくましい高齢者もたくさんいらっしゃるが(あくまで持論だが)亡くなるご高齢の方々の中には生に執着していなかったり、身体は強いそれが生に対して強かさとイコールではない場合がときどきある。
魂が歳をとるという表現が正しいかは分からないが、変化は日々の生活でも感じるところはある。
魂ってなんだろう? 感情や思考であって、生命が終わると同時に無に帰すものだろうと思いつつも、どうにも消えてなくなるとも思えない。永遠の一隅にとどまり続けるようにも思ってしまう。
魂の年齢と蝕む身体の年齢が違うと、摩擦は生じると思うし、それが懸命に生きる強かさであるかもしれない。
円熟した魂と身体の刻んだ歴史も素晴らしいものであったと受け入れることができたら嬉しい。
さよなら遠い日々、 色褪せない僕の魂
※坂本真綾さんのRule〜色褪せない日々〜より抜粋。
という写真展を2017年2月よりぎゃらりぃ畦さんでさせて頂きます。
詳細はworksを参照していただければと思いますが、たいへんお世話になっているぎゃらりぃ畦さんが今年10周年イヤーということで2月を担当させて頂く運びとなりました。
35mm判フィルムカメラで撮影した写真を40点ほど展示させて頂きます。
10年前は写真に興味なんてなかったし、オープン当時にぎゃらりぃ畦に遊びに行きましたが、まさか10年後に個展をやるなんて思ってもみなかったです...
福岡市内からは少し遠いですが、古民家で掘り炬燵や美味しいケーキもありますのでぜひ2月はぎゃらりぃ畦へお越しください。
<日時>
2017年2月2日(木)〜26日(日)
※2月2.4.5.9.11.12.16.18.19.23.25.26
<時間>
土・日/11:00〜17:00
木/13:00〜17:00
※最終日は16時まで
<料金>
入場無料
<場所>
ぎゃらりぃ畦あぜ
〒811-3202
福岡県福津市畦町368
tel:090-7463-4282
http://aze.blog.so-net.ne.jp
本当に突然なんですが、今日たくさんの場所に連れ出したnatura classicaが友人のところへ旅立って行きました。
大切なカメラだったんですが、ちょうどnaturaを探していたらしく、どうしても譲ってほしいとのことだったので。
自分のカメラはどれも大切で、思い出もたくさん詰まっている。
ただ、いくつあっても使うカメラは限られるもので、きっとケースに入ってちょこちょこ使われるより、たくさん写真を撮って大切に使ってくれるなら、きっとカメラにとってはそっちが幸せだと思ったんです。
今、使っているPENTAX MXも亡くなった方の遺品を頂いて修理したもの。
カメラ自体に物語が詰まっていて、とことん還元すればただの物だけれど、お金や物とともにやり取りするモノがあり、自分にとっては記録するよりもよほど大切なこと。
短い時間に色々考えたけど、またnaturaがたくさんの景色や笑顔を撮ってくれれば嬉しいなと思います。ちょっとだけ寂しいけれど、幸せの一つ。
そして頂いたお金で自分は本当に、本当に大切な友人の結婚式で使うレンズを買おうと思っています。
そうやって幸せな出来事が繋がっていく毎日であれば嬉しい。
初めてnaturaで撮った写真たち。4年前の夏だった。
natura classica/lomography100